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2005/11/29

卒業制作、だいじょうぶか?

建築士の学科試験に「建築計画」という学科があり、私は火曜の午前中、その対策講義を担当している。3年生への講義である(私の勤務する専門学校には2年制と3年制の建築学科がある)。計画原論とも言われる環境工学の分野や住宅関係の項目を終え、公共建築の項目まで進んできた。今日は図書館や美術館、公民館の設計・計画の基本がテーマ。
この講義はあくまで建築士試験を念頭に置いているので、各項目の基本的事項や出題されるポイントに絞って講義をし、過去に2級建築士に出題された問題をいくつか解説。建築士の試験は暗記すべき事が多いのだが、中にはヒッカケ問題もあり、問題文を良く読まなければいけない。また、試験は合格術みたいなものもあり、解き方のコツも交えながら話を進めている。今日の講義のテーマであった公共建築を卒業設計に選んでいる学生もいて、質問も活発だったように思う。
昼休みになり、ちょうど私が食事を終えた時、待ってましたとばかりに女子学生が卒業設計の下書きを5枚ほど持ってきた。しかしこれがまた見当違いの図面を持ってきた。「これはダメ!」と描き直しを命じた。もちろん、どこが悪いか、何故ダメなのかはキチンと話しているから、本人も納得して「あ!そうですね。わかりました」。
学生は1方向からしか物事を見ていないことが多々あり、思い込みでそのまま作業を進めてしまう場合が良くある。我々の仕事は、そんな思い込みに気づかせることも大事な仕事。修正が可能な場合は別として、何時間もかけて描いてきた図面も、修正不可能な大間違いがあればもちろん描き直してもらう。

卒業設計の提出は1月7日。あと40日ほど。A2サイズで10枚ほどの作品を創ってもらうのだが、現時点で単純計算でも1枚あたり4日しかかけられない。エスキスが済み、そろそろプレゼンに取り掛かりたい時期になってきた。例年、優秀作品に選ばれるのは、やはりじっくりコツコツ、時間をかけて制作した作品が多い。これから卒業設計提出まで何度も徹夜もしなければいけないだろうけど、納得の行く作品ができるよう最後まで頑張ろう。

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2005/11/28

福祉住環境、どうだった?

昨日は福祉住環境コーディネーターの試験日だった。
学生たちは解答速報を待ち望んでるだろうなと思い、今日は解答速報を人数分プリントして配布してきた。みんな自分の解答を記した試験問題を持って来ていたようで、すぐに解答速報と見比べながら自己採点に取り掛かりだした。そんなに待つ間もなく、あちこちから
 「やった!85点もある!2級合格やぁ」
 「75点取れてたから合格してそう!」
 「3級に合格できた、春のリベンジ成功!」
などなど、勝利の叫びが聞こえてきた。春の試験で3級に合格した者は秋は2級に挑戦し、春に3級不合格だった者は再度3級に挑戦または、いきなり2級を受けていいたりもする。2級でも3級でも、合格した学生たちの嬉しそうな顔!やれば出来るという自信や達成感も持てたことだろう。truss

今日、 1年生の構造力学の講義では「トラスの応力」と「断面の性質」についてテストを行った。「トラス」とは屋根の部分や鉄橋などが代表的な三角形を組み合わせた構造物。それを構成している材料に生じる力を求める問題。「断 面の性質」は材料の断面形の違いによって、さまざまな性質があり、公式などを利用してそれらを数値に表す問題。ちょっと問題のレベルが易しかったかな?と感じるくらい、数名が満点で平均点もかなり高い。結構頑張って勉強してくれたようだ。この分野は建築士試験でも毎年出題されているところ。この調子で頑張っていこー!
次回の構造力学の授業はいよいよ構造設計の基礎の話に突入します。

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2005/11/26

高校生から質問メール

おそらく高校生からだと思うのだが、学校の広報課に質問のメールが届いたらしく、返事を書いてほしいと私に回ってきた。質問がどこまでの内容を聞かれているのか分かりにくかったが、以下のように返事を書いた。
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①建築を勉強するのに必要な高校までの科目は、おもに数学と物理だと思うのですが、数学と物理のどの分野が重要になってくるか教えて下さい。

高校までで習う数学と物理の必要性についてですが、確かに建築の勉強の中には理数系の授業があり、ちょっとした計算力も必要です。具体的には、建物が地震で壊れたりしないよう、計算によって骨組みの安全性を確認したり、どれくらいの太さの柱が必要となるかを計算によって求めたりする授業です。「構造力学」や「建築構造学」という科目名のものがそれです。

高校の数学や物理が得意であれば全く問題ありません。逆に苦手であったとしても、専門学校では基礎の基礎から始めますから、気にしなくてもOKですよ。特に数学について言えば、中学校低学年程度の内容が理解できていれば、十分に建築の勉強は理解できます。
もし、専門学校に入学するまでに勉強しておくのでしたら、数学では「三角比」を理解しておくと、建築士の試験にも役に立ちます。また、物理では「力のつりあい」を復習しておけば、建築ではそこからの応用になるのです。

建築の勉強は理系の分野から文系の分野、言い換えれば工学的分野から芸術的分野まで幅広い勉強をします。広く教養が必要だと言ってもいいでしょう。 つまり高校までで習うどの科目も無駄にはなりませんし、これまでの勉強は必ず建築をしていく上で役に立ちますよ。

②建築士の資格は医師とかと同様に四大国家資格と聞いたことがあるんですが、他の分野の国家資格と比べて難しいとか合格率が低いとかっていうのはありますか?またこれからの建築業界はどういった傾向になっていくのでしょうか?

建築士は建築物の設計・監理(設計図面通りに工事が行われているか確認する)を業務とします。2級建築士は大雑把に言えば3階建て程度の建物まで、1級建築士は規模に関係なく設計・監理できます。つまり設計・監理できる建物の規模が1級、2級の違いです。他にも木造建築士というのもあります。
建築士になるには、筆記試験と実技試験の両方に合格しなければいけません。
2級建築士の合格率は全国平均で25%前後で、受験資格がなければ受けられない試験ですから、難関資格と言えると思います。けれども建築実務専科の学生は、毎年95%程度の合格率を誇っていますから、きちんと勉強さえすればほぼ間違いなく合格できる資格でもあるんです。

さて、これからの建築業界、どうなって行くのでしょうね。
少なくとも確実に言えることは、人間にとって必要な「衣・食・住」。これらが不要になったり無くなったりすることはありえませんよね。ということは建築の仕事が無くなることは有り得ないでしょうし、人間の欲望も無限ですから、より安全に、快適に、便利にということを求められてくるでしょう。
さまざまな建築材料や設備も日夜研究開発されていますから、設計する建築士も常に勉強していなければなりませんし、工事を管理する現場監督でも、工事の技術は進歩していきますから常に新しい技術に目を光らせていなければなりません。
どんな仕事でも、学校で学んだだけで仕事が出来るようになる、というものでは決してありません。卒業し社会に出てからいくつもの実務を経験し、そうするうちに確固たる技術が身に付いていくのです。

建築の勉強は実習や課題もあり、いそがしくて大変ですが、あなた自身が「建築」に興味があり、好きなこと、楽しいと思えることであれば、きっと頑張れると思いますよ。

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以上なのだけど、ちょっと長文になってしまったかなぁ?

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2005/11/24

骨組は理解できた?

jikugumi200 建築学科1年生、先週課題発表で1週間の宿題となっていた「1/100の軸組模型」、先日火曜日にその提出が済んだ。

在来軸組工法、2階建木造住宅の一般図(1/100の縮尺の平面・断面・立面図)及び床伏図や梁伏図を見て、主要構造部材のみの模型を造るというもの。1/100という小さな模型なので、材料は2×2mmの角材1種類でヨシ、根太や垂木、筋交も表現しなくてもヨシ、土台から上を造るという条件。
1年生にとって今の時期は、木造住宅のしくみを「一般構造」という講義で学んでいる最中のハズ。座学の講義で学んでいる『知識』、モノとしての『図面』、これらがきちんと一致しないと『模型』にすることは出来ない。また逆に、模型を造ってみて初めて図面の意味がより良く理解できるもの。

模型提出日、ほとんどの学生が図面通りに間違い無く出来ていたのは期待以上だった。こちらが用意した2階床伏図には1か所間違いのあったのだが、その間違いに気がついて、模型では修正していた学生も数名見かけられた。スバラシイ。
2×2mmの柱は1/100にしてはスケールアウト、太すぎる材料なので、全体のプロポーションはちょっと悪いのだが、課題としては図面と部材が一致している事が重要。あとは手先の器用さで、見事に精度良く出来てる模型もあれば、全体に傾いている模型、接着剤の使いすぎで糸を引きまくってクモの巣が張ったようになった模型、などなど。
 「手先がすごく器用やね、柱も垂直にカチッと出来てるなぁ」
 「新築なのに、エラい傾いてるなぁ。大地震に遭ったみたいやな」
 「うわぁークモの巣が張った幽霊屋敷みたいになってるぞぉ」
と感想も混ぜながら本人たちの目の前で評価をつけていった。

冬休みの宿題では1/50の模型や構造図面も描いてもらうことになるから、学生たちの冬休みはかなり忙しくなる。課題発表を早い目にする予定なので、提出ギリギリになってからバタバタせずに、早め早めに取り組もう。しかし実際にはそれが難しいことなのだが・・・
さて、次週の製図実習は木造の骨組と仕上げが理解できていないと描くことが難しい「矩形図(かなばかりず)」という図面を練習するぞ。

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2005/11/21

建築構造を模型で理解してね

耐震強度の偽装事件は相変わらずニュースを賑わせているが、明日は建築学科1年生の木造2階建て住宅の「軸組模型」の提出日。(軸組とは、木造在来工法の骨組のことです)
1/100の一般図(平面図や立面図、断面図など)と各種伏図(骨組だけを表現した平面図みたいなもの)などの設計図面を読み、2mm角などの角材を使っての軸組模型、つまり柱や梁など骨組部分だけを模型に仕上げてもらうという課題。今回は1/100の模型なのでかなり小ぶりな模型。だから大きな構造部材だけを表した模型で良いとしている。

この模型を作ることによって、図面が理解できているかが分かる。図面がしっかり理解できていて、それが頭の中で立体の構造物にならないと正確な模型が出来ない。さらに、図面を見ながら模型を作ることによって、木造建物を支える構造部材の名称も覚えてもらうのが狙い。提出時に、あるべき重要な部材が抜けていたり、未完成の場合は作り直して再提出してもらう。
今日の授業終了後、突然私の担当するクラスの教室に行き、再度注意事項を念押ししたり、質問にも答えたりしたからきっと明日は全員が間違いのない完成作品を提出してくれることと願っています。でも中にはとんでもない間違いをしてる学生もいるだろうなー。

実は、図面で1ヶ所間違いがあります。1本だけ部材が足りないんです。その部材がないと、ある場所の柱がグラグラ危うい状態になるハズです。さて、誰が気づくかな。

設計図面が完璧であるとは限りません。いろんな人の目を通り、最後は現場で、ミスや間違いは気づき、修正されなければいけないのです。
今回の耐震強度の偽造事件では、いくつかの建物が完成してしまい、チェック機能がなかなか働かなかったようですが、本当は完成するまでに誰か「何かおかしいな?」と気がついた人もいたんじゃないかと思うのですが・・・。

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2005/11/19

構造設計と建築士

構造計算書偽造事件は、建築士の信頼を失墜させ、また人命にも関わるとんでもない事件だったが、建築設計には構造設計という分野があるということを世の中の人々に知ってもらえたのではないだろうか。
建築設計とか建築士という言葉を聞けば、普通は、間取りを考えたり外観のデザインやインテリアを考えて設計図を作成する作業を思い浮かべると思う。しかし、それを実現するための縁の下の力持ち的な仕事『構造設計』という仕事が存在する。

2階建程度の木造住宅であれば、伝統的工法で長い歴史もあるため、”こう建てれば安全だ”という決まりのようなモノがあり、それに沿って建築していればまず大丈夫なのだが、ある一定規模以上の建物を建てる場合は、構造計算によって安全性を検討・確認しなければいけない。
具体的には、設計した建物に規定の”地震力”や”風圧力”が加わったと想定し、柱や梁などの骨組が耐えられるか、大きな変形を生じないかを確認したり、あるいは、どれくらいの大きさの柱にすれば良いか、鉄筋コンクリート構造であれば柱の中に配置する鉄筋の本数を何本にする必要があるかなどを検討するのである。今回の事件では、”地震力”や”風圧力”が規定の半分程度で計算が行われていたため、少し大きな地震で崩壊してしまうかもしれないという建物になってしまっていた。

1つ前のblogで、世の中にはTVで何度も取り上げられているように欠陥住宅がたくさん存在していると書いた。カッコいい家に住みたい、デザインに凝った家に住みたい・・と考えている人たちに安全な建物の重要性にも気づいてもらえたのではないかと思う。安いわりに外観に凝った建売住宅、どこかで建築費が削られ、それが目に見えない骨組部分であったとしたら・・・こわいコワイ。

意匠設計を本業とする建築士でも、基本的な構造知識は持っているのが普通。「大改造!!劇的ビフォーアフター」に登場する匠が、こちらの壁を取り払って広い空間を生み出し、代わりにあちらに補強材を入れて・・・というシーンがあったりする。つまり構造計算書の提出が要らないような小規模な住宅の建築やリフォームの場合でも、建築士はきちんと家が弱くならないように配慮しているものなのだ。
建築設計というと華やかな部分がクローズアップされがちだが、実は『安全性』が確保された上での化粧だと理解しておくべきだと思う。

我が専門学校の建築を学ぶ学生たち、構造系の科目が苦手な者がたくさんいるのだけれど、卒業するまでに構造も含め一通りの建築の基礎知識レベルは頭に入れておいてね。1年生はもちろん、構造に縛られず豊かな発想で設計課題に取り組んでください。2年生は卒業制作、建物の骨組も意識の隅に置いてコンセプトを練り、エスキスを詰めて行きましょう。

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偽造した構造計算書

巷では、「偽造した構造計算書」「建築確認審査に不備」「ニセ耐震:建築士の書類偽造」などなど騒がしいことになっている。ちょっと検索すればあちこちのブログでもこの話題に触れられている。
しかし、構造的に問題のある建物って世の中には既にたくさんあるのだ!今までのニュース報道や何度も特集番組を組まれてる「欠陥住宅」。柱が少ない、壁が少なく耐震的な構造でない、床束が足りず床がたわんでいる、基礎から土台がずれている、柱や壁内部が腐り半分以下の強度になっている、・・・例をあげればいくらでも。
建築士が携わっていながら、数々の欠陥住宅を生み出している。そういう行為に携わっているのは、あくまでごく一部の建築士なのだろうが、人命に関わることである。ただ、今回の場合は、大きな建築物で多勢の人が住む集合住宅数十棟に及ぶ。建築士個人の責任だけではなさそうで、建築確認をした検査機関のズサンさも大きい。
(建築確認とは、建物を建てる前に図面や構造計算書などを提出し、法規を遵守していることを地方公共団体や指定確認検査機関において確認してもらう行為で、確認が下りなければ建築できない。)

世の中の人は「建築士に任せておけば安心」と考えているハズ。その期待を裏切るような行為をしてはいけない。人の命を預かる仕事は、医師やパイロットだけではなく建築士もそうなのだ。今後の報道に興味がつきない。

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2005/11/16

資格取得は楽じゃないけど

専門学校に入学してから、さまざまな資格に挑戦する学生たち。
先週から、資格を取得した学生が掲示板にズラっと貼りだされている。

専門学校としては卒業生はもちろん、在校生の中に「資格取得者がどれほどいるか」「どんな資格を取得したか」などの情報は得ておきたいもの。しかし学校から団体申込で各種資格や検定を受検していれば合否結果などがわかるのだが、個人で受験を申込んだ学生については合否結果の確認が困難な場合がある。また、団体受験を行っていない試験もたくさんある。
そこで我校では、学生各自は資格を取得したら学校の事務室に申し出ることになっており、資格取得者の確認、また掲示等しても良いか承諾を得ることにしている。

掲示板には「福祉住環境コーディネーター」「色彩コーディネーター(色彩検定)」「カラーコディネーター」「CADトレース技能審査」「CAD利用技術者」「ビジネス能力検定」「建築施工技術者」「建設機械運転(各種)免許」etc・・・
1人で複数の資格試験や検定試験に合格している学生も多々いる。
日頃の授業や課題で結構忙しい学校のハズなのだが、上手く時間を見つけて受験勉強をしている学生がこんなにたくさんいるとは、なかなかやるじゃん!と感心してしまう。
「福祉住環境コーディネーター」などは建築学科の1年生や2年生が取得してるケースが多いのだが、試験が夏前に実施されるので、1年生は初めて勉強する内容ばかりでかなり苦労しただろうに。

私も時々その掲示を見ているのだが、すぐ横で「次は2級だ」とか「次は○○を受けてみよー」と上を目指す学生や、「今度こそ合格するぞ」と友達とリベンジに燃える学生が話をしたりしている。
そんなとき、スグに私は
「おめでとう!見事○○コーディネーターやな!」
「そや!どんどん自分を磨いていけよー!」
「しんどいけど力をつけていけよー!」と声をかけ、ケツをたたいてます。

学生にとって、資格試験や検定試験に合格すること自体も大事なことだけど、実は、
『ある目標を立て、それに向かってコツコツ努力して、達成する!』ってことを経験することが大切なのだと思う。

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2005/11/14

あっと言う間の地方入試

昨日、高知での地方入試から帰ってきたが、疲れたのか身体がダルい。plane
まず12日(土)、体験学習会を終えて空港へ移動。予定通り空港に到着したが、大阪国際空港で飛行機の出発が定刻から1時間20分も待たされたのだ。ボンバルディアDHC8-Q400というプロペラ機、しょっちゅう故障で遅れたり欠航となったり、問題の多い機材なので心配もしていたが、案の定「整備箇所が発見されましたので・・・」
まぁ、飛んでからバタバタされるよりはマシなのかも知れないが、一度キチンと完全オーバーホールした方がいいんじゃない?

翌13日(日)の午後1時からが入試面接。それまで午前中は時間もあるので、「はりまや橋」をちらっと見て、「日曜市」などブラブラ見学しながら高知城へ向かった。高知市では、月曜を除く各曜日に市場が出るらしい。日曜市が一番大きく、さまざまな商品が野天で売られる。お店の人はたいてい皺くちゃのお婆さんやお爺さんで、買い物客といろいろ会話しながら商売をされていた。
itiba 昨夜入った小さな料理屋さんのご主人が「観光客向けの市場なので、たいして安くもないし土地の人はほとんど買いに行く事はない」とおっしゃっていたので、私も見学だけを楽しんだ。
ほどなく高知城が小高い丘の上に見えてきた。城好きの私は当然天守まで登る。残念ながら天守閣の最上階は欄干の修理中で、期待の展望は望めなかったが風格のあ る城だ。天守下部に付属する「懐徳館」という書院造の建物も素朴だが素晴らしかった。
syoinnその後、路面電車で入試会場に向かう予定をしていたが、時間もあったのでそのまま歩いて会場まで行くことにした。はりまや橋方面に戻る方向になる。きれいに整備された広場などもところどころにあり、ゆとりのある街のように感じた。はりまや橋周辺も、人口の川を造り、水際まで降りていける親水公園になっていた。

約2時間半、休むことなく我ながら良く歩いた。
面接会場となる「かるぽーと」という施設に着くと、ほどなく高知駐在事務員の女性と合流。昼ごはん食べて9階の第1学習室へ。1時から面接をこなして無事終了。当然と言えば当然のことなのだが、地方入試での受験者は毎回少ない。各会場で多くても6、7名ほど。今日の高知入試は2名。ふぅ~、2名のために高知まで前泊で俺は来てるんやなぁと、ちょっと驚いたり。

でもこの日の面接をしたうち1人は高校の成績が平均4.5もあったので
「大学への進学は考えなかったの?」と聞いてみた。
「親も経済的に苦しく、大学は4年もあるので学費が大変なんです。専門学校は2年間で同等の実力も付きますから。」という返事だった。
後で聞くところによると、関西などはマンション建設も目に見えて増え、全体としては経済は上向きになってきたと思われるが、高知はまだまだ不況で就職も難しく大変らしい。
地方から関西の学校まで、入試のための旅費などの負担を少しでも節約できる地方入試。面接で直接そんな話を聞くと、受験者1人2人の入試のために高知まで来ても値打ちあったな、と思う。

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2005/11/11

地方入試

関西の専門学校には、四国や中国地方、果ては石垣島からも新入生がやってくる。
建築やインテリアを学びたいと志す遠方からの入学希望者にとっては、学校説明会や体験入学などに来るだけでも結構な旅費がかかる。その上、入試のために関西までやってくると数回分もの旅費を要することになってしまう。そこで昨今の経済事情からも、入学者の負担を少しでも減らすべく、地方入試ということを実施しているのだ。

毎年の入学者数から、那覇、奄美、松江、高知、松山、岡山で地方入試を実施しており、明後日13日にも今年度第2回地方入試がある。そのうち高知へは私が行くことになった。
前日の土曜日夜に現地に到着し、準備を整えておかねばならないのだが、前日である明日は体験学習や学校説明会の日でもあり、終わり次第、高知に移動することになる。
ちょっとバタバタしそうな1日になりそうだ。

さぁ、次年度もあちらこちらから、たくさんの入学生が来てくれることだろう。

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円通寺と正伝寺

今週は水曜日に休みが取れた。天気も良かったので、バイクでお気に入りの庭を見にいくことにした。自宅からバイクで10分もあれば行ける寺だが、ここの庭はかなりイイと思う。学生にもよく紹介している寺だ。

entsu-ji円通寺。このお寺は、もとは後水尾天皇の離宮跡。比叡山を借景にした庭は絶品だと思う。手前の生垣までの近景、遠く比叡山を望む遠景、その間にある林が中景となり、幾重にも景色が重なっている。金閣寺や清水寺など超有名な神社仏閣が数々ある京都だけれど、この円通寺は交通も不便な場所にあり、平日は観光客もかなりentsu-ji2少なめ。その分ゆっくり庭を鑑賞できる。但し、日曜祝日などはガイドブック等にも載っているせいか、結構多勢の人がいたりして騒々しく、こんな時にいくと感動が少ないのだ。
以前はこの庭の写真撮影は禁止だった。しかし住職の説明によれば、昨今の土地開発などによって、庭からの景観が壊れてしまう可能性が出てきたらしく、そうなる前にと写真撮影も許可することにされたようだ。後世までこのすばらしい景観が残せれば良いのだが・・・

次に、またバイクで西に向かい約10分。

syouden-ji正伝寺。こちらの方丈庭園は小堀遠州作と言われる枯山水庭園。白砂を敷き詰め、7・5・ 3とツツジを刈り込んだもので、この寺も遠く比叡山を借景として組み込んでいる。
円通寺よりこじんまりとした庭、かなり遠くに比叡山。円通寺より不便な場所なので平日ともなればほとんど観光客はいなかったりする。のんびりゆったり、景観を独り占めできるのがいい。しかし庭に面する縁側の天井は血天井と呼ばれるもので、伏見城落城の際、syouden-ji2 鳥居元忠らが自刃した廊下の板を供養の意味もこめて天井板として用いたもの。霊感の強い人はかなりゾクゾク感じるかも。

外部空間と内部空間、建物と庭との連続性が和風デザインの1つ。景色を含めた外部空間を上手く取り入れて生活を豊かにする。今の建築は高気密高断熱で、外部環境に影響されないようにして、空調など設備を使って快適に過ごす。
もちろん和の生活は四季によって暑かったり寒かったり、大変だ。けど、そのうち何かしっぺ返しが来ないか心配。いや、既にシックハウス症候群もしっぺ返しの一つかな。

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2005/11/07

<鉄筋切断>のニュース

先日11/3に、「大阪府住宅供給公社は2日、同府堺市新金岡町4丁の「公社金岡東H団地」(10階建て)で、全80戸のベランダ側壁面にエアコン用のホースを通す穴(直径75ミリ)を1カ所ずつ開ける工事中、柱・はり部分の鉄筋計140カ所を切断するミスがあったと発表した」というニュースがあった。

このニュースを見て弟の言っていたことを思い出した。我が弟は、数回の転職を繰り返した後に「第2種電気工事士」の資格を取り、今年の夏前あたりから電気工事の会社に就職した。毎日、工場や住宅などの電気設備を配する仕事をしているようだ。
そんな弟と先日会ったとき、こんなことを言ってきた。
「先輩が、木造住宅に電気配管のための穴を壁に開ける時、『このあたりは大丈夫や』といって躊躇なくドリルで穴を開けていくのが不思議やねん。もしそこに柱があったらどーするんやろって、怖い気がするわ」と。
木造住宅であれば、910mmごとに「柱」が立っている可能性があり、またその半分の間隔で「間柱」と呼ばれる壁の下地材があったりするのが普通だ。また、窓がない壁であれば「筋違」という斜めの材がある可能性もある。それを知っていれば、この位置なら大丈夫というのがわかるわけだ。そんな話をすると弟も合点がいったようだ。

専門学校で建築を学ぶ学生たちから、時々こんな質問がある。
「先生、○○の講義って実際に役に立つんですか?」
役に立ちますとも!建築を学ぶ上で役に立たないことってないよ。貴方たちが見聞きすること全てが将来の役に立ちます。設計関係に進みたい人も施工や構造の基本的なことは知っておくこと、施工関係に進みたい人も計画や建築歴史を学んでおくこと。建築を仕事にしていく上で、広い範囲を学んでおこう。

前述のニュース、公社では「設計・工事監理のチェックが働かず申し訳ない」と謝罪されたそうだが、これは作業する現場の作業員も気がついて当然のレベルのことだったと思う。
鉄筋コンクリート造であれば、鉄筋が重要な役割を果たしており、柱や梁に後から穴を開けるべきではないことなど建築では常識的なこと。なぜ壁の部分に開けなかったのだろう?壁なら鉄筋の間隔は広く、切断する可能性もかなり低い。切断してしまったとしても構造的に大ダメージを与えることもなかっただろう。
ある意味、確認もしなかった現場作業員の手抜きといっていいかも知れない。

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2005/11/06

本田美奈子さんが亡くなられた

本田美奈子さん、急性骨髄性白血病という病気で亡くなられてしまった。
1985年に歌手デビューだから、ちょうど私が2年間の浪人生活(といっても2年間遊んでいたようなものですが)に踏ん切りを付け、建築の勉強を始めた年だったのだ。彼女はデビューしてすぐに「Temptation」という曲で日本レコード大賞新人賞。アイドルにしては歌唱力がある人だなぁと思っていた。
それから数年経ち、何かの折に「そー言えばしばらくTVで見ないなぁ」と思っていると、ミュージカルで頑張っていると、ある番組で知った。そしてつい2ヶ月ほど前だったろうか、白血病で入院されていることを何かのTVで知ったところだった。その時の番組では、ご本人が病室で録音されたテープが流され、『元気になりつつある』と話しておられたが、結局復活の夢は叶わなかったのだ。

私の知人にも結婚直後に白血病が発症し、長期間の闘病生活をされた方がいる。その人は見事に復活され、今では無事に出産して子育てに追われる毎日らしい。
残念にも亡くなられる方、運良くか必然か復活される方。同じような病気でも、状況やその原因、体力などの違いからだろうか、こんなにも人生が変わるのかと驚きだ。
本田美奈子さん38才、私と同年代なだけに悲しいニュースでした。

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2005/11/05

住宅やマンションの広告

いつも朝起きると習慣的に新聞を見る。コーヒーを飲みながら新聞を見るのが朝の楽しみ。
しかし週末が近づくと、新聞には住宅やマンションの分譲、住宅メーカーの折り込み広告がたくさん入る。妻はその広告を見るのが好きだ。結婚間もなくは、その住宅の広告を見てあれやこれやと質問してきた。

「こっちの建ぺい率と、この建ぺい率は何で違うの?」
「この『要セットバック1.5m』って、どーいうこと?」
「建築条件付き、って何?」
などなど、広告に書いてある内容、それもかなり小さな文字で書いてあることまで読んで質問してくるのだ。そんな調子で生命保険の約款まで読んでくれてたらスゴイなぁと感心するところだが、そうはいかないようだ。
こちらは休日の朝、朝の楽しみである新聞をゆっくり読んでいるときに、そんな住宅広告についての質問を面倒くさいなぁと思いつつも、妻を鍛えるつもりで丁寧に答えていた。

休みの今日、気がついた。近頃、質問が無くなっている!さらに驚くべきことに
「この広告の家は東側に窓が1つもない・・東側には建物が隣り合わせに建ってるのかな?」と独り言をいいながら広告を見ているのだ。

広告に書かれている程度のことは全て理解できるようになり、周辺環境にも気がつくようになったということか。うーん、やるなぁ。

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2005/11/02

南方からの留学生

今日の会議で留学生の話題が出た。
毎年のように数名の留学生がいるが、フィジーからやってきた現在2年生のK君は冬にめっぽう弱い。暖かい南方から来た彼は寒さに耐えられないようで、昨年1年生の時も秋から冬にかけて朝は部屋から出ることもできず、遅刻が急に増えだしたのだ。「日本は寒い、寒すぎるぅ~!」と叫んでいた。
そして今年も、近頃は寒くなってきて、また遅刻や欠席が少し目立ち出したらしい。
さすがに2年生では卒業制作など、卒業に向けて何かと忙しかったりする。遅刻や欠席が増えると専門学校はキツイよ。何とか卒業まで頑張ってくれ!

彼ら留学生は、留学生会館に入居している場合がほとんどなのだが、その入居年限が2年以内というのは考えてもらいたいところだ。留学生会館へ入居1年目は日本語学校で日本語を学び、2年目はそれぞれ専門学校などで勉強、しかし専門学校は卒業まで2年以上のかかるから、卒業まで残すところ1年間は留学生会館を出て1人暮らしをしなければならない。
留学生会館には、同郷の者やいろんな国からの留学生がいて心強いし、話も合ったりして住みやすいだろう。しかし1人暮らしになると急に話相手も無くなり、ホームシックになったり自己管理が出来なくなったりするのだ。結果、学業が疎かになってしまい、時には卒業証書を手にすることなく国に帰らなければならなかったりすることも・・・。

1人暮らしは寂しく感じたり、面白くなかったりすることもあるかもしれないけど、学校に来れば同じ目標を持つ仲間がたくさんいる、そして先生もたくさんいる。
留学生に限らないことだけど、悩んだりした時こそ学校に来てみて下さい。解決へのヒントくらいは見つかるかもしれない。

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2005/11/01

設計製図の実習は頭や心も使って!

今回の建築学科1年生、製図実習の課題は、3時間の実習を2回つまり約6時間ほどで描き上げる事を要求している。
約45名程度の学生たちに私ともう1人、計2名の教員で製図実習を担当。課題説明を行い、学生たちは製図作業を始める。その後、私達は教室をウロウロしながら彼らの質問に答えたり、実際に描いてみせたりするのだ。

「先生、この窓に庇はいるでしょうか?あとは完成したんですけど。」
と、いかにも早くこの製図作業から開放されたい、帰りたいという感じの学生。
『庇?この位置の窓は雨が吹き込みそうやね。雨がかりの多い窓には庇を付けてあげたほうがいいんと違う?この家に住む人のことを考えてあげなアカンぞ』

「できました、どこかおかしなところありますぅ?」
とある体育会系の男子学生。
『この図面ではキッチンのガスコンロの隣に冷蔵庫を置く想定になってるな。料理をする時のことを思い浮かべてみてくれる?まず冷蔵庫から食材を出して、洗ったり切ったりして最後に煮たり焼いたり、そして配膳という順序が普通やな。と言うことは冷蔵庫はガスコンロの近くじゃなくて、シンク側の方が良くない?自分では料理できなくても、料理の流れくらいは知っておかないとアカンで』

『駐車場に一般的な車の大きさを表示しておくけど、普通自動車のだいたいのサイズって知ってるか?』
『階段の段数は適正か検討して。ちょっと段数が足りないんちゃう?建築基準法に蹴上や踏面の規定があるけど法規の時間に習ってるよなぁ。建築計画では上がりやすい階段の蹴上と踏面の関係もあったやろぉ?』

1年生の彼らだから初歩的な質問が多い。そして製図は面倒くさいと思う学生も多い。
普段、建築計画や建築法規、一般構造、その他の講義で一通りの事は知識として学んでいるハズなのだが、彼らは図面に描くとそれらがなかなか一つにならない。
設計する行為は、それら全てのことを考慮しながら、自分のこれまで生きてきた経験を踏まえたり、その建物に住む人のこと、利用する人のこと、周囲の環境のことも考えながら行わねば・・・。
その設計を具現化するために図面がある。建築するためにいろんな人が見ることになる図面だから、自分よがりな図面では人に伝わらない。ルールに則って製図しなければならない。そのために面倒くさがらず、しっかりと基本を覚えよう。

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