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2005/10/31

考えた事が形になると嬉しい

2週間ほど前の夜、進路指導の事務の人が私の席にやってきた。学生らしき女の子も傍らにいる。「先生すいません、2部の学生さんが構造的な事で質問したいとかで来られたのですが、今、2部の先生は誰もいらっしゃらないので、ちょっと話を聞いてやってもらえませんか?」
私は夜間部の講義は全く担当していないので、2部の学生とはほとんど面識がないのだけど、たまに定期試験前などにはこんな感じで質問に来る学生につかまったりすることがよくある。

しかし今日は構造力学についての質問ではなかった。
彼女は建築学科(2部)の1年生。昼間にアーティスト団体の手伝いをやっていて、今回、大阪城公園にモニュメント的な造形作品を創るのだそうだ。その造形作品とは、1辺60cmの四角形を地面に書き、その四角形の4箇所の各頂点の位置に7mの長さの柱を建てるという。それをどのようにして作れば良いか、という質問だった。私は頭の中に想像し『かなり不安定そうなものだなぁ』と思った。底辺60cm×60cmで高さが7m、かなり細長い。それも木で作るとなると、柱材同士は板かなにかで互いに接合せねばならないだろうし、搬入してどうやって立ち上げ、どうやって地面に固定するか。
全て人力で重機も使わないというから、かなりの人数も必要になってくる。

ちょうど大工実習担当の先生が目に入ったので「K先生!ちょっといい?!面白い話があるのよ」と引き込んだ。その学生と、T先生と私とであれやこれやと作戦を考えた。結構この手の話は好きなので、いろいろスケッチを描き示しながら、計画を練っている時はとても楽しい。

そして今日、再びその学生に会った。「あのイベントはどうなんたん?進んでる?」と尋ねると、ちょうど今日、実験的に大阪城公園で1つ建ててみたらしい。本番のイベントは11月下旬らしいが、そのときには全部で8本ほど建てるのだとか・・・60cm角で高さ7mのタワーが8本、結構壮観かもしれない。
その学生は今日の実験では1本しか建てなかったけど、とても感動したと、その時の状況を話してくれた。
自分たちで木材を組み上げ、何人もの協力で7mの長さの作品が立ち上がった時には、それはそれは感激し、達成感を感じたことだろうと思う。でもかなり不安定でまだまだ改良が必要なこともわかったとか。倒れないように地面を少し掘り下げて、足元を少し埋めるつもりだったらしいが、公園法で地面をそんなに掘ってはいけないと言われたらしい。
さて、次はどんな工夫をして対策するのかな。

2部建築学科1年生の彼女も、これでモノづくりの楽しさの一端に触れたようだ。自分たちの手で創り、完成した時はかなり嬉しい。これはモノの大きさには関係がない。いろいろ思考し、失敗から学び、時間をかけて出来上がった時の嬉しさ、達成感はやった本人にしかわからない。その積み上げが経験や技術になっていくのだと思う。

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2005/10/30

「こころの建築展」~高松伸~

今日は妻を誘って、東寺・小子房で開催されている「こころの建築展」に行ってきた。
学校経由で招待券を手にいれていたので、以前から行こうと思っていたのだが明日31日までの会期で、最終日曜である今日になってやっと行くことができた。

今回の会場、東寺境内にある小子房は勅使をもてなすために建てられた迎賓館であったようだ。普段は非公開で今回が初めての公開らしい。建物そのものは1934年に再建されたもの。
takamatushin2靴を脱ぎ小子房の中に入ると、廊下には高松伸氏のスケッチがガラスの下一面に敷き詰められていて、そ の上を歩きながら鑑賞するというスタイル。これまでに手がけられた建築物のスケッチ(設計するときに様々なことを思考しながら描いた多くの図や絵、あるいはメモなど)が大量にあった。建築を学ぶ学生たちだろう、数人が床に這いつくばって見入っていた。高松氏のスケッチやドローイングはかなり見ごたえがあり、建築を知らなくても1つ1つが芸術作品としても見る事ができるのではないだろうか。

小子房の廊下と、廊下に面する各部屋は普段は障子で隔てられているのtakamatushin1だろうが、部屋の中央に建築模型が展示され、廊下から見えるように、この展覧会中は障子が取り払われている。しかし合わせガラスがその障子のような役割をしているのだ。この合わせガラス、中間膜に高松伸氏の設計による建築写真が半透明に印刷されており、その膜をガラスではさんだもの。つまり廊下からは、合わせガラスを通して部屋の中を透かして見えるという感じ。
日本に古くからある障子という建具、ドアとは違って空間を完全に遮断することは出来ないが、ぼんやりと明かりを通したり、部屋を仕切れるが人の気配を感じられたり、また締め切っていても自然換気が行われたり・・・使いようによってはなかなかのスグレモノだと思う。
高松氏、その障子と同様の効果を期待してこの展示会で採用されたのだろうか。

一般的な展示会場ではない場所で、いかに作品を引き立たせるか、いかに見せるか。その場所を味方にするプレゼンテーションの工夫。そして未来への提案。バブル期に京都にもいくつも建築を設計し、スター建築家に躍り出た方であった。しかし近頃少し元気がないような感じだなと思っていたのだが、「こころの建築展」を見て、まだまだエネルギーを秘めておられるなぁという気がした。午後2時からサイン会があり、ご本人が来られていた。

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2005/10/29

それぞれ悩んで・・

今日は学校説明会。この時期の説明会には、例年、高校既卒者の参加が増えてくる傾向がある。現役の高校生3年生は、既に体験入学や学校説明会への参加も済ませ、入学する専門学校を決めていたり、推薦入学などで早々に専門学校への進学を決定している場合が多かったりするのだが、大卒や社会人経験者にとっては来春に向けて、そろそろ学校探しを始めるという時期なのだろう。

今日も30数名ほどの参加者の半数が、そういった高校既卒の方たちだった。
本校の各学科で学ぶ内容、資格取得や就職についての説明、学生作品の見学など一通りの説明会を終えたのち、お茶やジュースなどを飲みながら気楽な雰囲気で個別面談・質問の時間になる。

「今は社会人をしています。元々は大学でデザインの勉強をしていましたが、就職は勉強していた事と全く違って、機械関係の設計です。大学で建築のデザインや模型作り、パースなどを徹夜で頑張っていた時のことが忘れられず、思い切って2部の建築学科で学び直そうかと思って参加しました。大学では建築士の資格関係の授業がなかったので・・・」

「インテリアと建築、どちらの学科にするか迷っています。・・・」

「社会人の方で建築とは全く関係の無い仕事をされていた、あるいは全く建築と関係の無い学部の卒業で、一から建築を学ぼうという人はいますか?・・・」

既卒者の方々は、これまでの生活を180度転換することになったり、学費が苦しい中もなんとか建築を学びたいと思う人、建築士になりたいと思いフリーターをしてやっと学費が貯められました、今の仕事を続けながら夜間に学ぼうと考えている、などなどいろんな境遇の方がおられる。それぞれの質問にも真剣さが伝わってくる。もちろんそれに対して、こちらも一つ一つ丁寧に答えているとあっという間に時間が過ぎていく。
ほぼ2週に1回の土曜日開催の学校説明会なのだが、参加者本人の進路決定に影響することだから日頃の講義よりも遥かに気も使い、よくしゃべっているような気がする。終わると結構クタクタだったり・・・
学校経営の観点からは、入学者が多いほどいいのだから、「どんどん入学してください!建築は楽しいですよ!面白いですよ!この学校は素晴らしいですよ」と言っていればいいのかもしれないが、私は性格的にそれができなくて、つい自分の経験談を混ぜながらありのままを話してしまう。学校の広報的には逆効果の話をしてることも多いかもしれない。
でも話し終わったあと参加者の方から「今まで1人で悩んでいましたが、今日参加して直接先生方の話を聞いて元気が出てきました。頑張ってみようと思います」なんて言われたりすると、嬉しかったりするんだなぁ。

今日は天気が悪かったが、明日は晴れらしい。明日は東寺に出かけよう。

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2005/10/28

構造力学は苦手?

昼休み、2年生の学生が1人やってきて
「先生、去年1年生の時に先生の構造力学2の単位を落としてるので、今年再度チャレンジして単位を取りたいのですが・・・数学苦手でも何とかなりますか?」
来春に卒業予定の現2年生。おそらく1年次の構造力学の単位を取らないと、卒業単位が危ういということなのだろう。

自分は”数学は苦手!”という意識があると、講義を聴いても理解できないだろうとついサボってしまう・・。でも基礎から積み上げていく内容だから、最初の段階でサボるとその後に講義に出席してもチンプンカンプン・・。かくして試験で及第点が取れず単位不認定・・。
学生に聞くと、たいていの場合こんなパターンで構造力学の単位を落としているのです。例年2割くらいの学生は単位不認定となっているくらい。

さて構造力学。建物には常にさまざまな力が加わっており、建物を変形させたり、時には破壊させることだってある。そういった力にはどんな種類があり、どんな性質があり、また力と構造物(建物)にはどんな関係があるのか、それらの最も基本的なことを学ぶのが1年生の構造力学。もちろん建築士の学科試験にも出題される分野でもある。
しかし、高校生の時から数字を見ると「鳥肌が立つ」「頭が痛くなる」という苦手意識をもった学生はかなり多い。ましてや社会人経験者や文系の大学・短大卒で入学してきた学生たちは数学というものから数年間(時には十数年)離れてしまっているので、”力学”と名がつけば余計に苦手意識が強くなっていたりする・・・

そんなわけで入学前に既に『構造力学って科目はきっと難しのだろうな』という先入観が出来上がってしまっている学生が多いようだ。

だが実は1年次の構造力学では、高等な数学なんて使っておらず、四則計算のみでさまざまな問題を解いていき、力と構造物との関係を学んでいく。理屈さえ理解出来れば、中学1、2年生程度の数学力(算数力?)で解けるレベルの問題ばかり、というのがホント。
つまり建築をやっていく上での教養みたいなもの。最初から苦手と思わずに、ちょっと講義を聴いてみようか、というくらいの気持ちで臨んで下さい。
たぶん誰しも少なからず経験があるのではないでしょうか?わかる喜び!これを感じてもらえたら嬉しいものです。

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2005/10/26

締切厳守です!

夕方から会議。建築系学科で専任の教員の先生たちが集まって、最近の出来事など意見交換と連絡事項の確認など。3年制の建築総合学科は間もなく企業研修が始まる。約3週間ほど、実際に建築関係の企業で仕事のお手伝いをさせてもらおうというもの。企業研修を通して仕事の厳しさや自分の適性なども感じ取ってもらいたいものです。その他、設計製図の課題についての検討や有名建築家の講演会のことなど、さまざまな意見交換や連絡があり、19時頃終了。

教員室に戻る途中、学生食堂で1年生の学生たちはグループ課題の課題作成に没頭中・・・しかし「先生、提出日に間に合わないかも、助けてぇ~」と。
助けません、提出は明後日金曜やね。『どんな仕事でもそうだけど締切はとても重要!明日から工事が始まるのに図面がなければどーすんの?!うちの学校は提出期限にはうるさいよ、遅れたら評価無しって事もあるから何とか間に合わせろよ。』と日頃から言ってます。みんな徹夜でも何でも頑張って提出期限に間に合わせよう!

向かいの教室では2部(夜間部)建築学科の講義が行われている。昼間は仕事やアルバイトをされていたり、昼は大学に通い夜は専門学校に通っている方など、さまざまな境遇の学生さんたちがいる。彼らは毎日毎日、時間が足りないくらい忙しいのだろうなと頭が下がります。
18時前から21時過ぎくらいまでの講義や実習、帰宅すればクタクタだろうに。仕事が終わらず遅刻することもあるだろうし。もちろん課題もきちんと提出しなければならない。けどみんな頑張ってるからほんとにスゴイと思う。

さて、では明日も頑張ろう。

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2005/10/25

製図はしんどいけど・・・

製図実習、午後から3時間続けて行う実習だ。製図はかなりの集中力を必要とする。製図版上の用紙に住宅の図面を描き上げるのだが、きれいに、正確に、そしてスピードも必要だ。そのためには、どれだけ消しゴムを使わずに描けるか、それが重要なのだ。
しかし人間の集中力なんてそうは続かない。私だって肩はこるし腰は痛くなってくるし、遊びにもいきたいし、いろんな誘惑もあって・・・すぐに集中力が途切れてしまうものだ。
学生たちも60分で集中力の切れる者、90分はなんとか集中が続く者、3時間休むことなく図面に取り組む者などさまざまだ。「先生、図面って今はCADばかりじゃないんですか?何故、手で図面を描く練習をするんですか?」とある学生は聞いてくる。手や腕は疲れ、集中力は切れ、図面を描くのが嫌になってきたのだ。こんな時は休憩を取るに限る。疲れたら少し休む、スポーツだってなんだって一緒だ。しばらくその学生と話ををすることにした。

『社会に出たら図面はCADで描くけど、手で図面を描くのがヘタな人はCADで描いてもヘタなのよ。CADは最後はプリンターで印刷するからまっすぐ線を引いてくれる、同じ太さで線を引いてくれる、つまりきれいな図面が描けるハズなんだけど、ワープロで作文を書くことを考えてみたらいい。文章を書くのがヘタな人や、あまり漢字を知らない人がワープロを使って作文したら、確かにきれいな文字で印刷されるやろう。けど内容はおかしな文章かもしれないし漢字も間違いだらけやろうね。
それと同じよ。図面は線の太さや、線の種類を使い分けるのは当然だし、建築の基本的なことを理解し、覚えておくことが必要。そのためには描いて覚える必要があるんやな。漢字を覚えるときに何回も書いて覚えたやろ?ワープロでは漢字は覚えられないわ。自分の手で書いて覚えること、これはとても大事なこと。それに建築士の実技試験だって手で図面を書き上げなければならないし、今のうちに何回も手で図面を描く練習をしておかないとダメ。図面は自分の意思を相手に伝える手段の一つ。建築を目指す人にとっての必須技術や、さぁ時間一杯使って頑張っていこ!』

訓練、練習というのは苦しくしんどい。しかし技術を身に付けるというのは、繰り返し練習をして身体で覚え、自分のものにすることなのです。今はしんどいと思うだろうけど、きっと何年かして振り返ったとき、今日のしんどさなんて大した事無かったなと思えるだろう。

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2005/10/24

模型が創れれば

授業も終わった夕方、建築学科の1年生の学生2人が質問にきた。彼らが今取り組んでいる課題は、3~4人でグループをつくり1つの心地良い空間を設計しようというもの。

質問に来た学生のクラスには構造系の科目を教えに行ってるためだろう、
「先生、場所はこの川沿いの敷地で、外観はこんなデザインのものを考えているんですが、高さは何mくらいまで可能でしょうか?」と自分たちの描いたスケッチをあれこれ見せながら聞いてくる。幅に対して高さがかなり高いものを考えているようだ。
この学生たちはかなり真面目な学生たちだと思う。工業高校で建築を勉強してきた者も1人混じっている。建築は構造もしっかりしていないと存在し得ないとわかっているのだ。だから自分たちの考えたものが実際に存在できるかどうか不安なのだろう。

社会に出て実務に就くと、さまざまな制約の中で設計を行わなければならない。敷地の大きさや形状、建築費や法律による制約、近隣の人間関係なども関わってくることもあるだろう。それゆえ学生の間にはそんなことは一切気にせず、自分たちの思いや哲学を踏まえて自由に設計して欲しい。それが学生の特権であるとも思う。時には構造、骨組みという制約さえも気にしないで欲しいのだ。

彼らにはこう答えた。
『模型を創ってごらん、模型が創れるものであれば実際にも建築できる。模型も創れないような、または模型がすぐに倒れてしまうようなものは、実際にも建築することは不可能やね。それと高さについての感覚もしっかり身につけておくといいわ。君らは、かなり高いものを考えているようだけど、周囲の建物、高層マンションなんかでもいいけど1階あたり3m~3.5mとして階数を数えればどれくらいの高さの建物か想像できるやろ?50m走の50mは短いように感じるけど、その50mを垂直に、つまり高さ50mというとかなり高いように感じるはずやわ。』
彼らは、模型を創ってみることにしたようだ。そして、学校の周囲の建物を見回して、自分たちの考えていたものが必要以上に巨大なものだと気がついた。

どんな建築も、莫大な建築費を注ぎ込めばたいていのものが出来る。それが学生の考える夢のような建築物であっても、模型で実現できれば施工可能だ。ただ、そんな夢のような建築物のために莫大な建築費用を払う建築主がいないだけなのだ。
まだ1年生の初々しい学生たちには、費用や法律など度外視して、自由なアイデアに挑戦してほしいと思う。

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2005/10/23

予想外に曇時々雨の天気

昨日の天気予報では曇り時々晴れで、雨も降らないはずだった。午後からバイクで東寺に行こうと思っていたのだが、あいにく天気が悪い。次の休日にしようか。

まぁ、製図の課題作成の仕事も残っていたし、それを済ませなさいということだと自分に言い聞かせて作業に取り掛かることに。
課題は小規模な木造2階建ての住宅で、間取りのみが決まっている。扉や窓などの開口部を設け、建物以外の駐車場や庭、道路から玄関までのアプローチなどの外構を各自で考えて、きちんとした配置図や平面図、断面図や立面図を仕上げなさいというもの。
私はその解答例を作成しなければいけなかったのだ。そんなに時間もかからず出来ると思っていたので、ついつい後回しにしていたらタイムリミットが近づいてきていたのだ。
1年生の課題で、設計よりも製図技能を鍛える科目なので、あまり特殊なことはせずに解答例を仕上げていった。まず1年生の前半では建築製図のルールを覚えてもらわねばならない。建築図面は建物を創る時の共通言語、きちんとした図面を描けるという技術は必須なのだ。もちろん必修科目になっている。

夕方になりやっと天候も回復傾向。ずっと1日中家にいるのが出来ない性質なので、少しだけ近所を散歩。近くのお寺では商店街とタイアップして「そらたね祭」というイベントをやっていた。

出来上がった製図の解答例は明日にでも製図担当の他の先生方に確認願おうか。

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2005/10/22

建築士試験講習会の反省会

今年の3月末頃から、日曜や平日の夜に2級建築士の講習会の講師をやっていた。私は、学科試験のうち、建築計画の担当。建築計画の講義をやったのは、実は初めてだったのだ。
最初、講師の依頼が来た時には、『建築計画の講義は今までやった事が無いけれど、2級建築士の問題程度なら何とかなるかな?』と思い、安請け合いしてしまったのだ。実際に講習会が始まると、あたりまえだが日曜が講習日なので休日は減るわ、講習の準備には追われるわ、予想以上に大変だった。

とりあえず、今年度の2級建築士の試験は全て終わり、12月の合否発表を待つばかり。そんなタイミングなので反省会となったのだ。この講習会の参加者のほとんどが、普段は仕事をされており、日曜や平日夜に講習会に来て2級建築士を取得しようという人達。仕事の関係から、遅刻したり欠席したりされる方もおられたが、学科試験の合格率は70%だったようだ。あとは製図試験の結果に期待が寄せられるが、製図講習については担当していなかったから、私は少し気楽。

全国での学科試験合格率は33%程度なので、70%の合格率は講習会としてはなかなかの成功だったと評価されたらしい。「また来年も講習会をよろしくお願いします」と主催者から言われてしまった。ほんとはもう勘弁してほしいところなのだが、2、3年は辞めさせてもらえないような雰囲気だった。

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2005/10/20

建築設計の種類

入学間もない学生からも、よく質問されるのですが、「建築設計」には大きく3種類あるとされます。それは「意匠設計」「構造設計」「設備設計」。

「意匠設計」は建物の機能を考慮して間取りを決めたり、外観のデザインやインテリアを考えて仕様を決め、図面を作成すること。普通、建築設計というとこれを思い浮かべるのではないでしょうか。
「構造設計」は建物の安全性、つまり地震や台風の影響を受けても倒壊しないということを計算によって確認し、骨組の図面(構造図)を作成すること。
「設備設計」は人が建物の中で生活するために必要な電気、水道、空調、ガスなど建築設備について、配管やどのような性能の機器が必要かを決めて設備図を描くこと。

建築業界には、それぞれの業務に特化した設計事務所があり、それが「構造設計事務所」であり「設備設計事務所」なのです。もちろん大手のゼネコンや設計事務所では、内部に各設計部門を持っています。
設計事務所をやってる友人から、3階建て住宅の構造計算書を作成して欲しいと依頼され、何件かやったことがあります。本来は意匠も設計も設備も全て自分で設計し、図面に仕上げられれば言うこと無しですが、得意不得意はあります。建築設計も結構分業されているのです。
『建築は、芸術から工学まで、幅広い知識や教養を必要とする』などと言われますが、実際にはそんなスーパーマンみたいに何でもこなせる人は非常にまれ。それぞれの得意分野で協力し合って良いモノづくりをしていければいいじゃない、と思います。

学生たちの中には『現場監督になりたいから設計の勉強は必要ないのでは?』とか『構造の方面に就職したいので設備の科目は捨ててもいいでしょ?』なんていう者もいるが、それは単なる好き嫌いの言い訳。建築はさまざまな人が協力し合って出来ていくものだから、お互いの仕事について基本的な知識くらいは持っておかないと、良い仕事はできない。

建築を学ぶ学生諸君は、好き嫌いせずに広く浅く建築について学び、その中から自分に合った分野を伸ばすようにしていって欲しいと思う。

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2005/10/18

スポーツ大会、筋肉痛がこわい

20051018今日は我が専門学校のスポーツ大会。大阪市中央体育館を大会会場として、希望者のみの参加で学生たち約250名が集まった。午前中はドッジボールとバスケットボール、午後はフットサル。
午前のドッジボール大会では、各チームの人数合わせのため、欠席者のいるチームに適当に教員も加わってのゲームとなった。
気がつけば足腰はフラフラ、何度もゲームにかりだされて、結局5ゲームほど参加してしまった。齢40、運動不足の身体にはさすがにこたえました。

しかしこの大阪市中央体育館、施設のほとんどが地中に埋まっていて、その設備もかなりスゴイ。にもかかわらず今回会場となったメインアリーナは1日6、7万円で借りられるらしい。さすが大赤字の大阪市、借りる方にとっては有難いのだが、こんな値段で貸していたら維持費だけで赤字だろう。バブル時代の建築の1つ、今の大阪市には決して創れない建築だろうな。

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2005/10/17

就職が決まった彼女

昼休み、弁当を食べていると、女子学生が1人こそーっとこちらを覗いて、『先生、お食事中にすいませんが...ちょっといいですか?』と何やら不安げな顔をして聞いてくる。

「おっ!Hさん、2級建築士合格発表楽しみやねー!こちらこそ食べながらで良かったらいいよ。何か心配ごと?」
そう、彼女は建築学科を卒業後に2級建築士取得を目指して専科に在学中。もっか就職活動中のハズだ。私は、彼女が1年生の時に担任をしていたので良く見知っている子だ。

『就職が決まったんですけど、構造事務所なんです。私で大丈夫でしょうか・・・』

つまり就職が決まったけど不安なのだ。誰しも経験することだが、学生生活に終わりを告げ、社会に出て行くというのは期待もあるが未知の世界に不安一杯だろう。彼女は建築学科の卒業設計では構造設計のゼミを選んでいた。自分で設計した建築物の構造設計を行い計算書を作成し、構造図も書いている。構造事務所も自身で希望したのだろうから、全くもってメデタイことなのにな。

「就職決まったん?!オメデトウ!意匠の設計事務所より仕事は堅いし、将来独立する気もあるのなら、構造事務所で構造設計をしっかり学んでおくことはとてもプラスになるぞ。Hさん、前に現場にも行きたいって言ってたけど構造事務所でも現場には行くよ。構造図の通りに骨組みが施工されているか、現場に確認に行くからね。骨組みに欠陥があれば人命に関わるから細心の注意も必要な重要な仕事だ。
仕事って、最初は皆、やっていけるのかなって不安な気持ち一杯だけど、社会に出てからが本当の勉強だと思ってね。Hさんは構造設計の勉強をしっかりやったんだから大丈夫よ、でも仕事ではツッぱらずに、わからないことは先輩に聞くこと。しかし同じことを2度聞いてはダメ、メモを取れる態勢は常にとっておくことやわ。」

彼、彼女らは、就職が決まって不安になっても、少し話をして少し元気づけてあげれば、それでとりあえず不安が消える。
『やっぱりそぉですよね。ありがとうございましたぁー、また顔出しまーす。』
と教室に戻っていった。

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2005/10/14

CGは楽しい?

我が建築学科には、CADの実習授業があるのだが、それとは別に選択科目の中にコンピュータの授業がある。金曜日の今日はその授業の日なのだ。9月までは2次元CAD(AutoCADやJwcad)で建築図面を描き、着色まで行ってプレゼンに生かす方法などを課題を通して学んでもらった。そして後半の10月になり、3次元CADに挑戦となる。CGとも呼ばれる立体の表現だ。

世の中にはたくさんのCGソフトが存在するのだが、私の授業では比較的安価なshadeという国産CGソフトを使い、最終的に目指すのは室内パース(完成予想図)の作成。しかしそこに到達するまでには、まずソフトの使い方を習得してもらわねばならない。ソファやテーブル、ペットロボットなどを題材にして、基本操作を覚えてもらう。
3時間ぶっ続けの実習なのだが、学生たちは黙々と画面に見入って作業している。途中、10分の休憩時間にタバコを吸いに立つ者もいるが、ほとんどは座ったまま。一般的な図面を描くCADは彼らもよく見知っており感動も薄いのかもしれないが、3次元のCAD(CG)は珍しさもあり、リアルに物体が表現され、出来上がった時の感動も大きいのだろうと思う。彼らの素晴らしい集中力に感心。課題は自由課題で「自分のデザインによるダイニングチェアを作ろう!」というものなので、さまざまな作品が出来上がってくる。

『先生、こんな形状はつくれますか?』
『こんな椅子をイメージしてるのですが、どう制作していけば・・・?』
などなど、学生らしいアイデアが学生の数だけ出てきてとても楽しい。
しかし、イメージ通りの形をどうすれば作れるか、私も分からない時があって困ることがよくあるのだが・・・

学生たちの自由な発想に、感心することしばしばあるのである。
学生各自の設計による室内パースの制作開始には、まだ1ヶ月半ほど先だ。

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2005/10/10

退学とか休学とか

10月になりやっと涼しくなり始めた。
学校を半ばにして退学する学生が数名。残念なことだ。
休むはずの無い学生の欠席が続いたりして連絡を取ってみると、「実は学校辞めようと思っています」という返事。『え?何が問題だったの』と晴天の霹靂、予想だにしない返事。
彼ら、彼女らは何とか頑張ってみようと思ったのだが、夏休みがキッカケになったり試験結果がキッカケになったりして、「やっぱり辞めよう」となるのだ。

たいていは本人の甘さや辛抱の無さ、生活の乱れによる原因であり、説得や説教を試みるのだが、本人の気持ちが切れてしまっていては続くハズもなく、結局は退学していく。

とても無力感を感じる。結局どんな手立てを打っても、本人が辞めると心に決めてしまってからでは、遅いのだ。

自分の将来、目標がやっとわかった!自分のやりたい事はこれだ!と新たに目標があって辞めるのならまだいいのだが、何となく消えてしまう学生、「つまずいたから辞める」ということを繰り返さないようにして欲しい。
建築の分野は、一般教養や雑学を広く学ぶから、将来違う方面に進んでも決して無駄にはならないと思う。途中で辞めることになっても、時間を無駄にしたとは思わず先に進んでもらいたいと思う。

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